大瀧 倫卓(九州大学)

第6期日本熱電学会会長就任挨拶

大瀧 倫卓(九州大学)

この度、第6期日本熱電学会の会長に選任されました。誠に光栄に存じます。

日本熱電学会の目標は、会員の皆様が最新の研究成果を共有し、研究者や産業界の方々が連携して持続可能な熱電エネルギー変換技術の発展に寄与できる環境を構築することです。前任ならびにこれまでの会長および学会構成メンバーの皆様の貴重なご尽力により、学会は順調に活動を続けており、熱電変換の科学と工学の学術領域において一層の進展がなされてきました。心からの感謝を申し上げます。

第4〜5期(2018〜2022)の会長を務められた木村薫先生は、「日本学術会議協力学術研究団体への指定」と、「独立した学会事務局の設置(大阪科学技術センター内)」という、積年に渡る大きな二つの目標を見事に達成されました。

他方、2020年〜2022年の約3年間、現代社会が直面した未曾有の試練であるCOVID-19パンデミックにより、多くの人々が直接的または間接的に影響を受け、社会全体が様々な制約に直面しました。当学会も例外ではなく、2020年と2021年の学術講演会はオンライン開催とせざるを得ませんでしたが、2022年は他学会に先駆けて8月に完全対面開催を実現しました。国際熱電会議(ICT)も3年連続で延期になったこの厳しい時期において、日本熱電学会は、その活動を継続し、熱電学の発展に注力してまいりました。多くの方々が柔軟性と創造性を発揮し、新たな形を模索しつつ研究や交流を続けていることに感謝いたします。

日本熱電学会は、2024年に学会設立20周年を迎えます。今期は、この一つの大きな節目に向けて学会活動が正常に復帰していく時期でもあり、厳しい期間に得た貴重な経験を元に、学会の活動をより効果的かつ柔軟に展開してまいります。学会運営上の会議や様々な研究集会において、かけがえのない対面開催の価値とオンライン化のメリットの両方を活かして、より多くの会員が参加できる多様な機会を提供し、知識の共有と血の通った連携を促進していきたいと思います。

共同刊行欧文論文誌 Materials Transactions や日本熱電学会誌への投稿論文数の増加は継続的な課題ですし、COVID-19の影響による学生会員の減少など、学会運営上の新たな課題も見えてきており、会員の皆様方には、ますますのご支援とご協力をお願いいたします。共に学び、共に歩み、共に未来を切り開いていくために、一層のご理解とお力添えを賜りますようお願い申し上げます。